薄毛治療薬でドーピング検査違反

薄毛治療薬の筋肉増強剤を隠蔽する効果が引き起こす問題

薄毛治療薬プロペシアでドーピング検査違反に

2007年7月に福岡ソフトバンクホークスのリッキー・ガトームソン投手が発毛剤を服用していたことから、ドーピング検査で違反になった事件は記憶に新しいところです。具体的には、薄毛治療薬で現在最も効果の高いフィナステリド(プロペシアの成分)が検出されたようです。ガトームソン投手の説明によると、米国の医師から処方され、2年ほど前から発毛剤として飲み続けているとのことでした。毎日4分の1錠服用していたということなので、おそらくフィナステリドを成分とする前立腺治療薬のプロスカーを使用していたと思われます。プロスカーにはプロペシアの5倍にあたるフィナステリド5mgが含まれています。それを4分の1に砕いて、毎日服用していたようです。

スポーツ選手のドーピング検査で違反になるということは、プロペシアの成分フィナステリドが危険薬物かのようにも聞こえます。でも実際には、薄毛を促進するDHTホルモンの生成を抑える働きをするだけで、副作用もなくとても安全な薬の一つです。男性ホルモンにも直接働きかけないですし、筋肉増強剤でもありません。それではなぜ、フィナステリドが違反薬物なのかというと、フィナステリドには、ドラッグテストにおいて筋肉増強剤を隠蔽する効果があるからです。

ソフトバンクのガトームソン投手はフィナステリドが日本で違反薬物にあたることを知らなかったようで、2007年2月の春のキャンプ時にもフィナステリドを服用していることを球団のトレーナーに申告していたようです。フィナステリドは、WADA(World Anti-Doping Agency)によって、アスリートによる使用が禁止されています。WADAコードはオリンピック選手のみならず、世界のあらゆるプロスポーツのスタンダードでもあります。フィナステリドは、いくつかの運動能力を向上させるステロイドの検出を難しくさせる隠蔽物質(masking agent)となるため使用が禁止されています。フィナステリド自体には、アスリートにとっても一般人にとっても有害な働きはありません。

ソフトバンクのガトームソン投手以外にも、最近ではブラジルの名サッカープレーヤーであるロマーリオがプロペシアの服用で出場停止になったようです。ロマーリオは、「もし禁止だと知っていたら、使っていなかった」と後悔していますが、一方で「知り合いによく効くとすすめられたが、本当によく効いた。見ればお分かりの通り」と言っており、効果には満足しているようです。また、2006年の冬季オリンピックでスケルトンの選手の尿検査からフィナステリドが検出されて出場禁止になるなど、様々なスポーツでアスリートによるフィナステリドの使用が問題になっているようです。日本では2005年12月にようやくプロペシア(成分はフィナステリド)が発売になったのですが、北米ではすでに10年近く使用し続けている人もいるため、薄毛で悩むプロペシア愛用家の選手にとっては大きな問題のはずです。フィナステリド自体には問題がないため、ドーピング検査の手法にも問題があるといえます。現在は、尿サンプルからフィナステリドを特定し、フィナステリドを除外した状態でドーピング検査ができないかどうか、方法が模索されているようです。